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毎日新聞 終戦の日特集 「特攻」を「恥部」と断言できる精神を疑う [国防]


   保坂.png

毎日新聞は、終戦の日特集ということで、
以下のインタビュー記事を掲載したのでしょうが、
あまりにもステレオタイプというか、
視野の狭い「反戦」ぶりは目を覆うばかりです。



揚げ足をとるつもりはないのですが、
段落ごとにコメントをつけました。
中学・高校生の皆さんにも
「自分ならどう思うか」考えてみて欲しいテーマです。



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毎日新聞
http://mainichi.jp/articles/20141024/mog/00m/040/003000c

特攻70年

「特攻は日本の恥部、美化は怖い」 保阪正康さんインタビュー

特攻とは何か。特攻隊員たちの遺書が自身の執筆活動の原点という
ノンフィクション作家、保阪正康さん(74)に聞いた。
【聞き手・高橋昌紀/デジタル報道センター】

 



 ある元海軍参謀にインタビューをした際、戦時中の個人日誌を読ませてもらったことがあります。特攻隊についての記述があり、「今日もまた、『海軍のバカヤロー』と叫んで、散華する者あり」と記してありました。部外秘の文字も押されて。この元参謀によると、特攻機は離陸した後はずっと、無線機のスイッチをオンにしているそうなんですよ。だから、基地では特攻隊員の“最後の叫び”を聴くことができた。「お母さーん」とか、女性の名前もあったそうです。「大日本帝国万歳」というのはほとんどなかった。



ところが、そうした通信記録は残っていない。故意に燃やしてしまったに違いありません。“軍神”が「海軍のバカヤロー」と叫ぶ。それは当局にとって、隠蔽すべきことだったでしょうから。



***

 

特攻機に搭載されていた無線機は、音声通話が可能なものではなく、電鍵(キー)で「ト・ツー」信号を送信するだけの電信機でした。記事に添えられた写真のキャプションにも『電信兵』と記されています。

    電信兵.png

従って、いくら無線機のスイッチがオンになっていようが、音声が送られることはありません。また「トン・ツー」信号で特攻間際に『海軍のバカヤロー』と発信しながら、敵の対空砲火の弾幕の中を突っ込んで行けるほど、特攻は暢気なものではなかったはずです。


インタビューに応じた元参謀がウソをついておられたとは思いたくありませんが、「バカヤロー」の叫びは事実とは考えられません。

 


***


 
 高校時代に「きけわだつみのこえ」を読みました。それが特攻隊について、考えるようになった契機です。その後、生き残りの隊員や遺族らに取材を重ねてきました。学徒出陣した上原良司氏(陸軍大尉。1945年5月、沖縄で戦死)の妹さんは、兄と仲間たちの会話を手帳に残していました。彼らは「向こうの奴(やつ)ら(=米軍)何と思うかな」「ホラ今日も馬鹿(ばか)共が来た。こんな所までわざわざ自殺しに来るとは間抜けな奴だと笑うだろうよ」と言い合っていたそうです。取材後の彼女の何気ない言葉は重く、響いています。「指揮官たちは『後に続く』と言いながら、誰も飛び立たなかったそうです。その言葉を信じた兄たちが事実が分かったら、どんな気持ちになるでしょう」



***



手帳に残された言葉の前後はどのようなものだったのでしょうか。

同じく学徒として動員され、特攻で亡くなられた別の方は『我々の死は戰に勝つことにおいては無駄に見えるかもわからないが、将来、占領下においてかつての敵国軍に對する無言の圧力として、また復興を担う国民たちの心の支えとして、決して無駄にはならないだろう』との、冷徹に未来を見つめた遺書を残されています。


ご遺族の方が、手帳に会話をメモされたという状況が分かりかねますが、本人が遺書として残したものと、兄妹とはいえ他者が伝聞でメモしたものと、どちらがご本人の遺志を示したものと考えるのが妥当でしょうか。

 



***




 高級参謀をはじめ、日本の職業軍人とは何者だったのでしょうか。英国は階級社会ですが、国を守るという点では王族・貴族もありません。戦争で死ぬということについて、平等性がある。戦争に貴賤(きせん)なしです。日本でも高松宮さまなどは前線勤務を希望していたようです。ある陸軍大学校出身の元参謀には「息子を入学させるなら、陸大だよ」と言われました。彼の同期50人ほどのうち、戦死は4人だけだったそうです。エリートは前線に行かず、戦争を美化するんです。
 兵士への危険負担を限りなく、低くすることが本来の指揮官の役割です。国民的バックグラウンドの下で、西洋の民主主義国家にはそれがあった。彼我の戦力を客観的に分析する。物量主義も、兵士を死なせないためにあるんです。日本にあったのは生煮えの軍事学です。仏独に学んだ上っ面だけの西洋軍事学に“日本精神”である武士道を乗っけた。「武士道と云(い)ふは死ぬこととみつけたり」(「葉隠」)の文言だけを取り出し、都合良く利用した。

 



***

 



戦争にというか、生命に貴賤は無いのでしょう。

しかし、戦争は勝つことに意義があるわけで、兵士を大切にするのは、戦いを継続するために必要だからです。個人の喧嘩でも、手足は攻撃に使いますが、目玉や脳みそは物理的な攻撃には使えません。身体の各部に役割があるごとく、軍隊は高度に機能分化され、戦闘で滝と対峙する下士官や兵と、指揮命令を発する将校とは自ずと役割が異なり、勝利を目指す戦争継続の為に必要なことを選択するのが軍隊というものです。



***

 

 特攻は日本の恥部です。命を慈しむ日本の文化や伝統に反することです。命中率99%であったとしても、だめなんです。志願を建前としていましたが、実際には強制でした。本人が望んでいない死を要求し、死なせる。こんなものは軍事ではない。国家のため、大義のためという、自己陶酔でしかない。戦争とは人の生死をやり取りする闘争です。ロマンなどないんです。特攻は米軍に畏怖(いふ)心を与え、日本本土上陸をためらわせた−−との説がありますが、とんでもない。
米軍は暗号名「コロネット」「オリンピック」などの上陸作戦を着々と準備していました。一方の日本軍は「義勇兵役法」で国民の根こそぎ動員を決め、1億総特攻に駆り出そうとしていた。国民一人一人が特攻要員だったんです。



***

 

「命を慈しむ」ことと「死ぬ」ことは相反することでしょうか。命の大切さを十分に分かった上で、あえてその命を差し出してでも守るべきものがあったのだと考えることが出来ないのが不思議です。多分、それほどまでに、大切なものを持ったことがない不幸な方なのでしょう。

 


***





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 「特攻隊員は我々である」との視点が必要です。あの時代に生きていれば、あの時代が繰り返されれば、自分も特攻隊員になるかもしれない。特攻を考える時、必要なのは同情ではなく、連帯感です。隊員の苦衷、苦悶(くもん)が分かれば、美化することなどできないはずです。「特攻で死んだ人に失礼ではないか」「彼らのおかげで今の日本がある」などと言ってくる人がいます。どうして、そんな軽々なことを言えるのか。特攻を命じた指揮官たちと変わりませんよ。


 

***

 

遺書に残された特攻隊員達の、現実を観る冷徹な視点、精神性の高さ、何より家族に示した思いやりの深さ。当時二十歳前後だった隊員たちに比べ、齢70を超えた評論家の意識が遠く及んでいないという現実が、日本人の劣化を示しています。

 

***

 

 クラウゼビッツ(プロイセンの軍事学者)は戦争を「他の手段をもってする政治の延長」と位置付けました。本来は政治こそが、軍事の上になければならなかった。日本が陥った軍部独裁は政治家たちだけの責任でもありません。国民も軍をもてはやし、甘やかした。勝つことこそが軍の目的ですから、負けると分かっても戦争をやめることなどできなかった。行き着いた先が特攻です。
 特攻について、時に涙が止まらなくなるほどの感傷を持っています。それとともにわき上がるのは軍への怒りです。この二つがあってこそ、特攻に向き合えるのではないでしょうか。どちらかに傾いてもいけない。特攻は時代を測るメルクマールだと思っています。いたずらに美化することは非常に怖いことです。集団的自衛権によって、自衛隊が海外派兵される可能性が高まっています。良くも悪くも、軍隊というものには国民性が表れます。今こそ、旧軍について、十分に検証すべきです。それが無くては、特攻というシステムを採用するような組織が再び、生まれてしまうかもしれません。

 


***

 

「軍部独裁」なんてあったのでしょうか。戦時中、議会は停止していましたか?「独裁」の定義ってナニ?

確かに特攻を美化することは誤りです。「用兵の下策」であることは発案者自身が指摘し、終戦にあたり自決されています。旧軍について、敗戦について、そして当時の世界情勢の中で我が国がどのように対応すべきであったのか、総括することが重要です。集団的自衛権により自衛隊が海外派兵されるという短絡的な思考力しかない人物が「評論家」として大新聞の一隅にインタビュー記事が掲載されてしまうようでは困るのです。

 


ほさか・まさやす

1939年、札幌市生まれ。74歳。同志社大文学部卒。出版社勤務を経て、著述活動に入る。「昭和史を語り継ぐ会」主宰。長年の昭和史研究で2004年に菊池寛賞を受賞した。



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